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内縁の解消と離婚との違い|内縁Q&A

内縁について考える

内縁の定義

ざっくりいうと、内縁とは、婚姻届を提出していない一点を除けば、実際の夫婦と同様の生活を営んでいる関係のこと、を言います。

判例を押さえておきましょう。
最高裁昭和33・4・11第二小法廷判決
(昭和32年(オ)21号 慰謝料請求事件)
(民集12巻5号789頁、判例時報147号4頁)

上記最高裁判所の判例によりますと、
《いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない》としております。

さらに昔の判例によると、内縁のことを、婚姻の予約(婚約)と同様に位置づけているものもあるのですが、婚約した状態というのは、あくまで結婚の前段階とはいえても、実際に夫婦としての生活を初めているわけではないし、当人同士においても、まだ夫婦になっていないという意識であるのに対し、内縁は婚姻届を提出していないだけで、実際には夫婦とかわらない生活をすでに送っており、当人同士も「夫婦」のつもりで、夫婦としての共同生活を送っているという状態ですので、やはり、婚姻の予約(婚約)と内縁とは、別物であると区別されるべきでしょう。
そのうえで、内縁と婚約との違いについては、婚約が婚姻に向けての約束(や時に儀礼など)が存在するが、同居が(短期でしか)ないのに対して、内縁の特徴は、一定期間の同居または同居に類するような協力関係、継続的な性関係の存在に見出される、などと説明されているようです。

内縁の効果

【内縁の不当破棄 → 損害賠償請求(実費+慰藉料)ができる】
上記最高裁判例によりますと、
内縁関係は、法律上保護されるべき生活関係であり、内縁が正当の理由なく破棄された場合には、相手方に対し、不法行為責任あるいは婚姻予約の不履行を理由とする損害賠償請求をすることができるとされております。
また、内縁は、婚姻に準ずる関係である以上は、婚姻費用の分担(民法760条)の規定は、内縁にも準用されるものと解されて、別居期間中の医療費等については、一方が相手方に請求できるものとされております。(ほかにも、最判昭和41・2・22 集民82号453頁)

【内縁の解消 → 財産分与ができる】(通常の離婚と同様)
内縁関係の解消の際には、通常の離婚のときと同様、財産分与(民法768条)の規定は、準用される(東京家審昭和31・7・25 家裁月報9巻10号38頁)(広島高決昭和38・6・19 高民集16巻4号265頁)(岐阜家審昭和57・9・14 家裁月報36巻4号78頁等)

【内縁の一方当事者の死亡 → 財産分与は否定(おそらく相続も当然否定)】(法律婚とは異なる)
一方、死亡による解消と財産分与が争われた事例としては、最高裁平成12・3・10第一小法廷決定(平成11年(許)18号 財産分与審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件)(民集第54巻3号1040頁、判例時報1716号60頁、判例タイムズ1037号107頁)があります。
この判例では(要は、法律上の夫婦でない以上、相続はできないという価値判断が根底にあるものと推測されるところ、それと同じで)、死亡解消による財産分与は否定されております。
(過去、内縁の一方当事者の死亡による内縁の解消のケースにおいて、配偶者相続権(民法890条)の規定を準用することを肯定した判例、学説はないようです)

ほかにも、日常家事債務(民法761条)、夫婦間の財産の帰属(民法762条)の規定についても準用、適用されるようになっている(要は、戸籍に関係しない法的効果であれば内縁にも適用されるよう、解釈されるようになっている)。

※以下、順次追記します。
判例紹介
【内縁関係の解消の正当事由と不当破棄】
・不当破棄とされたケース
・正当事由あり、とされたケース

【婚姻外の男女関係(パートナーシップ関係)の解消と不法行為責任】(内縁とはまた違った関係。準婚理論を内縁以外にどこまで拡張していけるものかについては、今後の事例の集積がまたれます)
最高裁平成16・11・18第一小法廷判決(平成15年(受)1943号 損害賠償請求事件)
(判例時報1881号83頁、判例タイムズ1169号144頁)
最高裁は、結論として、当該事例の慰謝料請求を否定した。(高裁のみ認容。慰藉料100万円)
事情
①16年間継続。子2人。
②住居別々。共同生活の事実一切なし。
③家計別々、共有財産もなし。
④事前合意に伴い、女、子の養育に一切関与なし。出産費用等は男負担。
⑤婚姻届は子の出生にあわせて提出。出生後離婚届提出。2回繰り返した後は、婚姻意思なし。意図時に婚姻を回避している。
⑥男女間において、一方が相手方に無断で相手方以外の者と婚姻をするなどしてこの関係から離脱してはならない旨の関係存続に関する合意がなされた形跡がない。

《当該男女の関係については、婚姻及びこれに準ずるものと同様の存続の保証を認める余地がないことはもとより、上記関係の存続に関し、男が女に対して何らかの法的な義務を負うものと解することはできず、女が上記関係の存続に関する法的な権利ないし利益を有するものとはいえなお。・・・男の上記行為(ほかの女との婚姻等)をもって、慰謝料請求権の発生を肯認し得る不法行為と評価することはできなものというべきである》とした。


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